古武術を応用した介護「手のひらを返す」
古武術を応用した介護のなかで、よく手のひらを通常とは違い、裏に返すという技術が多くみられます。
手のひらを返すだけでどうして大きな力が出るのでしょうか。手のひらをそのままの向きで抱えるようにあてると、どうしても肘や肩を支点にして筋力を出そうとしてしまいます。しかし、手のひらを裏返すことにより、腕全体や体幹につながる肩が絞られます。肘や肩が自由に動かないとなると、自然に身体全体が動くようになるのです。
例えると、綱引きをする時,綱がたるんだ状態から引かず、綱がピ−ンと張った状態から引き始めないと、力が入りません。綱がピ−ンと張った状態だとダイレクトに力が伝わります。
では、綱が張った状態を作るにはどうすればよいかやってみましょう。両手を前に軽く突き出し、両手の手のひらを返してみると,腕全体の状態が変化することを体感することができます。つまり、手のひらを返すことにより,全身の力をダイレクトに効率よく伝える構造ができあがるということがわかります。
ただ、介護の上では、手首だけは被介護者の方や体にあてたほうが相手に安心感をあたえることができます。